2006年11月12日

ジャンケン世界一

じゃんけんの世界一を決める大会がカナダのオタワで開かれたそうです(ソースはコチラ)。 World RPS Society主催のじゃんけん王者決定戦は2002年から開かれているとのこと。優勝者は1万カナダドルもらえるそうです。世界一といっても、それほど多くの国から参加しているわけではないみたいですけど。

アメリカで暮らしているとほとんどじゃんけんをする機会がありません。日本だとちょっとした決めごとだとすぐに「ジャンケンで決めようか?」となりますが、こちらでは話し合いで決まることの方が圧倒的に多いような気がします。映画やドラマを見てても、コイントス(coin tossing/flipping:コインの裏表を予測して決める)で決めることはあっても(もちろん日常ではほとんど見ませんが)、ジャンケンが出てくることはまずありません。

ちなみにアメリカでは「じゃんけん」のことを、「Rock, Paper, Scissors(RPS)」といいます。日本語に直すと「グー、パー、チョキ」ですが、これはこのまま掛け声を表すことばでもあるので、「じゃん、けん、ぽん」と訳すのが正しいのかもしれません。ちなみにイギリスでは「Paper Scissors Stone」というそうです(Wikipedia)。また細かいことですが、アメリカも州によっては違うみたいです(例えば手を出すタイミングが123!ではなく、12!とか(記事参照))。 各国から来ている人たちと話をしていても、「じゃんけん」を知らない人はまずいませんが、その呼び方はさまざまです。ヨーロッパ人然りアジア人然り、どの文化でもほぼ似たようなゲームを持っているというのはとても興味深いことです。

それでは、このジャンケンの起源はどこにあるのでしょう?

ウィキペディアには、元来日本にあった拳遊び(三すくみ拳)に17世紀末に中国から伝わった数拳の要素が加わって、19世紀末になって今のジャンケンになったとあります。また「Rock, Paper, Scissors」については、本家Wikipediaにはその歴史は書いてないのですが、今回の記事によれば「その起源ははっきりしないが、18世紀半ばにイギリスには存在し、1918年にカナダに伝わった」とあります。Multicalturalpedia(多文化理解辞典)じゃんけんの項目を見ていただくとわかりますが、その起源はよくわかっていないというのが本当のようです。

出す手の形が、国や地域によっては3つだけではなく、4つあるところもあるようで面白いですね。

じゃんけんは、理論上はグー、チョキ、パーはいずれも1/3ずつの確率で勝ち負けあいこになりますが、実際にはそうなりません。明らかにチョキを出す確率は低いというのが定説です。確か数年前に論文か新聞の記事でみたように思います(ソースがハッキリしなくてすみません)。最近は神経科学の領域でも、RPSを使った意思決定の神経機構を調べる実験が行われています。これまではYesかNoの2者択一式のパラダイムを使ったものが多かったのですが、これからはこうした複数の選択肢から選択が行われる場合のメカニズムについて議論されることが増えていくでしょう。またジャンケンのように相手の手を読んで、自分の行動を決めるようなケースで、その(意思)決定にどのようなファクターがどういった形で関わっているか?を調べることは、他のさまざまなケースにおける人間の行動を予測する上でも役に立つと考えられます。

「じゃんけん」ひとつとっても、文化比較学、統計数学、神経科学など、さまざまな分野で研究対象となるんですから、世の中本当にディープですな(笑)

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