2007年11月6日

400ドル以下で買えるノートPC




いつものように本日のお買い得商品を見てたら、見慣れないものが目に入ってきました。

ASUS Eee PC $399

「ふーん、ASUS(エーサス)の旧モデルの特価品かな?」とクリックしてみると、どうも違うみたい。

早速ググッて見たら、出てくる出てくる色んなサイトが!("ASUS Eee PC"でヒット数英語2,880,000件、日本語412,000件)Wikiはこちら

どうやらASUSから新発売になった低価格モバイルPCみたい。

特徴は

・ ともかくメサ安い。
・ ハードディスクではなく、メモリに記録。いわゆるゼロスピンドル。
・ Linux OS+日常ソフトプリインストール。さらにドライバーはレディWinXp。



サイズ的にはパナソニックのLet’s NoteのR7くらい(Eeeの方が奥行きが2cmほど短い)。ポケットPCというよりは、日本のA5ノートサイズに近い感じ。

*私の愛機はレッツノートW-2なのですが、アメリカで持ち歩いていると必ずといっていいほど「わ~、小さい!」と言われるほど、普通のアメリカ人が持っているノートPCは大きいです。日本じゃ絶対に持ち歩かないような17インチ画面のMacBookさえ普通に持ち歩く人たちですから、B5やA5サイズなんてまず見かけません。

そんなわけでこのPCは彼らにとってはノートPCというよりは、PDAに近い感覚かもしれません。さすがにこれ1台で全てを処理するのは無理でしょうけど、サブ機として気軽に持ち歩くのに向いてそうです。

ウェブにあったレビューを読んでみると、起動が15秒以内。ウェブブラウザの起動やPDFファイルを開くのも3秒以内、とストレスなく使えるレベル(というか早いじゃん!)。バッテリーのもち具合は、ウェブにつないだ上で液晶を最高輝度にして動画を見続けても3時間以上持つみたいだから、一昔前の日本のノートPCレベルです。こりゃ上出来です。

SDカードリーダーにUSBポートも3つあるし、当然のごとくVGA出力も出来るようなので、携帯してプロジェクタに繋げばプレゼンテーションもこなせそうです。外部出力のスクリーンサイズの大きさが不明なので要確認ですが。

一番の問題は、やっぱり液晶画面の大きさかなぁ?7インチ、800x480。この解像度だと下手するとそのうち日本の携帯電話に負けてしまいそうです。記憶装置の容量は外付けのメモリやHDD使えばいいので、それほど困ることはなさそうですけど。

メインは自宅のPCで、ノートPCは出先でメールやウェブが見れればそれでいい、と考えている人たちにとっては、この価格かなり魅力的かもしれません。

本家台湾ではメモリ容量を絞ったさらに低価格の廉価機も発売されてるみたいですから、これがUSAや日本に上陸したら売れそうですね。

Made in Japan、危うしです!

でも、個人的には画面サイズを10インチくらいにして、$800くらいにしてくれた方が嬉しいんですけどね。

拡張性もまずまずありそうなので、久々にギークの触手がピクツク商品ではないでしょうか。 とはいえ、すでに携帯ノートPCを持っている人にはあまり意味がないかもしれません。かくいう私も最初はポチッとしそうになりましたが思いとどまりました(笑)

(04/24/2008 追記)

どうやら5月に新型のEee PC 900が発売されるみたいですね。お値段549ドル~とか。懸案の画面サイズが8.9インチ(1,024 x 600 )になって、まさに死角なし。これは買うしかないでしょ。



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2007年11月3日

アメリカにおける所得格差

先月WSJ(ウォールストリートジャーナル)に掲載された記事では、アメリカにおける所得格差が確実に広がっていることが示されています。

所得格差(Income-Inequality Gap)の拡大は今に始まったことではありませんが、実際に数値で見せられると「・・・・」になってしまいます。

IRSの2005年度調査によって「高額所得者上位1%が全体所得の21%を稼ぎ、下位50%の合計所得が全体の12.8%だった」ことがわかりました。

*比較しているのは各種控除を含めた調整後収入(adjusted gross income)


2004年度は、それぞれ19%と13.4%だったので、1年でその差は2.6%拡大しています。これはそれぞれの平均収入で比較すると、71倍から82倍に拡がった計算になります。2000年度にも高額所得者の全体に占める所得割合が高かったことがあったのですが(グラフ参照、WSJより転載)、そのときでも80倍ですから拡大傾向は止まっていないと見れそうです。

さらに上位1%の平均収入($364,657)は2000年から2005年の間に3%増加したのに対し、全体の平均収入の中央値($30,881)は同じ5年間で2%減少したそうですから、世間一般から見ると収入は増えていないということもわかります。

IRSの調査が始まったのは1986年ですが、格差は調査開始以降最大で、他の研究調査によればこの水準は1920年代以来とのことです。

ブッシュ大統領へのインタビューでは、「1)社会には昔から所得格差は存在した、2)所得格差は技術(スキル)格差による」と説明され、「だからアメリカの(国際)競争力のためには"No Child Left Behind"が重要なんだよ。」と答えています。まあ、これは正論だと思います。

それにしても今後もますます inequality は拡大しそうです。私自身は正のインセンティブを生み出すには仕方ないかな?と感じていますが、せめて中央値の底上げ(最悪でも維持)を図りながら進めないと、社会全体の幸せにはならないように思います。

おまけ
以前のForbsの調査では平均所得は$39,190となっていましたから、だいぶ開きがありますね。こちらは給与所得以外も含めて中央値で$30,881ですから。それだけ底辺が多いってことなのかもしれません。でも周囲の不法移民とかの話を聞いてるとそれなりに稼いでるようなので、真面目に働く気さえあれば中央値くらいは稼げそうな気もするんですけどね。

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アメリカ人の癌に対する思い込み

先日、AICR(American Institute of Cancer Research)から過去5年に渡る癌の大規模疫学調査を解析した結果が発表になりました。

そのレポートの一つに"Facts vs. Fears Survey"という癌に対するアメリカ人の意識調査の要約が載っていたのでここで紹介します。


最初の質問が「(アメリカ人が)最も関心をもっている健康問題は何か?」に対して、

1.癌(39%)
2.心筋梗塞(18%)
3.肥満(11%)
4.脳梗塞(10%)
5.糖尿病(9%)

上記の通り1位は圧倒的にがんでした。

次に「それらの病気を予防することは可能か?」の問いには、他の疾患が「不可能(もしくは著しく困難)」と答えた人の割合が4人に1人もいないのに対して、がんだけは約半数の人が防ぎようがないと考えているようです。


またがんの危険因子に対する知識について尋ねたところ、がんとの関係が統計的に明らかな

○ たばこ(93%)
○ 過度の日光浴(90%)
○ 遺伝(88%)
○ 大気汚染(88%)

は当然として、

○ 運動不足(43%)
○ 保存肉・加工肉(38%)
○ トランス脂肪酸(44% Jump Up!)
○ ウイルス・細菌(59% Jump Up!)

に対して危険だと思う人の割合も年々増えています。

ただ同時にがんとの関係がまだ確立されていない

× 食物への残留農薬(71%)
× ストレス(56%)
× ホルモン投与した牛肉(49%)
× 食品添加物 (58%)

などを危険だと思い込んでいる人の割合も増えたとのことです。()内は危険だと思う人の割合です。

それ以外では

○ 野菜・果物不足(49%)
○ 肥満(46%)
○ アルコール(37%)
○ 赤身肉の摂り過ぎ(36%)

が危険因子として明らかになっているのに、まだ認知不足な項目として挙げられていました。

同じアンケートを日本でも行ってみると面白いかもしれません。

皆さんも思い込みしてませんか?ただ×の項目も安全自体が証明されているわけではありませんので、気をつけるに越したことはないのかもしれません。

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2007年11月1日

人類史上、最多の殺害を実行した人の死

"Enola Gay" 

戦後62年経った今も多くの人の記憶に刻み込まれている名前です。

リンク(タイトルをクリック)先にはそのパイロットの方が亡くなったことが書かれています。

Paul W. Tibbets Jr.。

おそらく人類史上でもっとも多くの人を殺害した人物です。エノラゲイとは彼の母親の名前に由来しています。

“I wanted to do everything that I could to subdue Japan. I wanted to kill the bastards. That was the attitude of the United States in those years.” “I have been convinced that we saved more lives than we took,” he said, referring to both American and Japanese casualties from an invasion of Japan. “It would have been morally wrong if we’d have had that weapon and not used it and let a million more people die.”(The New York Timesより引用)

彼の言葉だそうです。実行犯としての反省の弁は全くありません。

"もし~れば"という仮定で歴史上の事実が覆ることはありませんが、もし彼が思いとどまっていればその直後に数十万人の命が失われることがなかったのは100%間違いようのない事実です。

彼のいうようにそれによってさらに多くの人の命が救われたかどうかは確率的に数パーセントもないと思います。原爆が落ちていなくても早晩日本は降伏していたでしょう。もちろん確率の話ですから、実際にはどちらの被害が大きかったかは起きてみないとわかりませんが、アメリカ人の得意とする仮説(モデル)に基づく合理的な計算上は『原爆による犠牲者の方が多かった』というのが正しいのではないかと思います。

At the same time, General Tibbets expressed no regrets over his role in the launching of atomic warfare. “I viewed my mission as one to save lives,” he said. “I didn’t bomb Pearl Harbor. I didn’t start the war, but I was going to finish it.”(The New York Timesより引用)

これも彼のことばです。軍の命令は絶対でしょうから、100人いれば99人は彼と同じように作戦を実行したかもしれません。ただ仮に彼が命令を拒否したとしても投獄されるくらいで処刑されることはなかったでしょう。いや仮に殺されたとしても、それで数十万人の命を救えたかもしれません。もちろんその可能性は低いですが、ゼロではありません。

「自分が彼の立場にいたらどうしたか?」

難しい質問です。

しかし彼の死を機会に今一度、家庭や学校の教育現場で、こうした彼の発言や行動について検証することも意義があるのではないでしょうか?

もしかしたら、どこかでこれと同じ議論を遠い昔にしたことがあったような気もしますが、学校の先生方、道徳の教材や題材としていかがでしょう?

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中国医薬品原料の舞台裏

中国の業者が毒性のあるエチレングリコールをグリセリンと偽って輸出したために、それを原料として作られたかぜ薬によって、パナマを始めとして世界中で死亡者が出た事件について、以前ここでも取り上げましたが(参照記事)、その続報がThe New York Timesに載ってました。

特に目新しい情報はありませんが、どうして今回このような事件が起きたかについて考察しています。

5月のスクープ記事でも少しだけ触れられていましたが、なぜ中国政府はこうした偽モノを取り締まれなかったのでしょうか?

中国でも製薬会社は医薬品の出荷に関してFDAによる検査が法律で課せられていますが、化学製品会社にはこの法律は適用されないそうです。このため化学薬品製造会社が医薬品の原料を作って輸出する分にはFDAの検査は要らないわけです。

例えば、グリセリンも医薬品の原料になるものから、普通の工業用として使われるものまで色々とあるわけですから、一般の化学工場から出荷された場合、それが医薬品用の基準を満たしていない場合もあるわけです。

結局製薬会社から仕入れるよりも一般の化学工場から仕入れたほうが原価が安く上がるので、それを利用する人が多いのでしょう。

90年代半ばに起きたハイチの事件でもこうしたザル法への批判はあったようですが、結局そのまま放置され、今回も同じ事件が繰り返されたというのが真相のようです。

今回のNYTの記事は中国に批判的な論調ではなく、どちらかというと中国の政府に同情的で、今後の課題として問題をまとめた感じでした。

この辺は弱みを見つけたら徹底的に叩く日本的報道と違って(誰とはいいませんがNYTにもそういう記事書く人がいますけどね)、今後の取材でも中国側の協力を得やすい関係を作ろうとしているんだろうなぁと感じます。

もちろん被害者の救済も大切ですが、同じ過ちを繰り返さないためにも、感情論に走らず、徹底して事実や原因を追究し、そこから具体的な改善策を提案することも、報道に課せられた重要な使命だと思います。

あっぱれNYT!

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