2007年11月3日

アメリカにおける所得格差

先月WSJ(ウォールストリートジャーナル)に掲載された記事では、アメリカにおける所得格差が確実に広がっていることが示されています。

所得格差(Income-Inequality Gap)の拡大は今に始まったことではありませんが、実際に数値で見せられると「・・・・」になってしまいます。

IRSの2005年度調査によって「高額所得者上位1%が全体所得の21%を稼ぎ、下位50%の合計所得が全体の12.8%だった」ことがわかりました。

*比較しているのは各種控除を含めた調整後収入(adjusted gross income)


2004年度は、それぞれ19%と13.4%だったので、1年でその差は2.6%拡大しています。これはそれぞれの平均収入で比較すると、71倍から82倍に拡がった計算になります。2000年度にも高額所得者の全体に占める所得割合が高かったことがあったのですが(グラフ参照、WSJより転載)、そのときでも80倍ですから拡大傾向は止まっていないと見れそうです。

さらに上位1%の平均収入($364,657)は2000年から2005年の間に3%増加したのに対し、全体の平均収入の中央値($30,881)は同じ5年間で2%減少したそうですから、世間一般から見ると収入は増えていないということもわかります。

IRSの調査が始まったのは1986年ですが、格差は調査開始以降最大で、他の研究調査によればこの水準は1920年代以来とのことです。

ブッシュ大統領へのインタビューでは、「1)社会には昔から所得格差は存在した、2)所得格差は技術(スキル)格差による」と説明され、「だからアメリカの(国際)競争力のためには"No Child Left Behind"が重要なんだよ。」と答えています。まあ、これは正論だと思います。

それにしても今後もますます inequality は拡大しそうです。私自身は正のインセンティブを生み出すには仕方ないかな?と感じていますが、せめて中央値の底上げ(最悪でも維持)を図りながら進めないと、社会全体の幸せにはならないように思います。

おまけ
以前のForbsの調査では平均所得は$39,190となっていましたから、だいぶ開きがありますね。こちらは給与所得以外も含めて中央値で$30,881ですから。それだけ底辺が多いってことなのかもしれません。でも周囲の不法移民とかの話を聞いてるとそれなりに稼いでるようなので、真面目に働く気さえあれば中央値くらいは稼げそうな気もするんですけどね。

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