2007年4月9日

アメリカ国内での引越しについて

ご存知のようにアメリカ合衆国では州ごとに法律(州法)が異なります。州法によって規定される範囲は広く、州によって諸々の公的なルールが違います。

具体的な例を挙げれば、例えば交通規則。州によってノーヘルでバイクに乗っていいところもあれば、ダメなところもあります。またクルマのナンバープレートもリアだけつければいい州もあれば、前後につけなければいけない州もあります。もちろん交通規則だけではありません。消費税の税率も違えば、公休日に至るまで、法律によって決められていることが、住む州によって変わるのです。

我が家は日本でも、関東(都内、都下)、関西、東北、と引越しを経験していますが、地域ごとに生活習慣はまったく違うものの、基本的な社会の規則に関してはほとんど変わりはありませんでした。もちろん市税や地方税の税率などは違いますが、それを意識する場面はほとんどありません。

アメリカでも一旦理解して慣れてしまえば問題ないのでしょうけど、「え!こんなことまで違うの?」といった常識的(基本的)なものまで違ってたりするので、アメリカ人同士でもしばしば驚くことがあります。そんなわけで、引越しするとしばらくは新しいことの発見の連続だったりします。

我が家は一昨年に日本からアメリカへ引越しした際に、アメリカの公的手続きが一筋縄では行かないという流儀にかなり慣れたので、今回ペンシルバニア州(PA)からサウスカロライナ州(SC)に引越した際に同様のことが起きても、それほど驚くことはありませんでした。それでも、やはり州による法律の違いには驚くことも少なくありません。

ここではその手続きなどについて、PAからSCに転居した数少ない(と思われる)日本人の記録として以下の項目について記しておこうと思います。

  1. ドライバーズライセンス(DL)
  2. 自動車登録
  3. 確定申告

1)ドライバーズライセンス(DL)

アメリカには住民票というものがありません(多分)。身分証明書として最もポピュラーなのが自動車運転免許証(DL)です。そのDLも州ごとに発行されるため、転居に合わせて新しく申請する必要があります。SCでは転居後90日以内に手続きする必要があります(けど、それほど厳密なものではないようです)。手続きに必要な書類は新規に免許を取得する場合とほとんど変わりありません。テストが免除されるだけです。ちなみにこの免許取得に必要な書類というのも州ごとに異なります。有効期限はいずれの州でもDS2019の期限に一致していました。

素晴らしいのが、州によって交通規則が違うのにテストを受ける必要がないということです。自分で勉強しておいてね、ってことなのでしょうが、何が違うのかくらい説明して欲しいものです。けど、州が多すぎて対応できないから仕方がありません。なんでも自己責任の国なのです。

PAのDLは記念にとっておきたかったのですが、残念ながらこの場で没収されました。PAではDLは手続きしたその日に即日発行でしたが、SC(の私の住んでいる地域)では一旦レターサイズの仮DLが発行され、後日郵送で本DLが送られてきました。当然のことですが、DLのデザインは州ごとに違います。


2)自動車登録

ナンバープレートが変わります。これは日本も同じですね。ただ大きく違うのは、それに伴う手続きです。SCでは他州で登録されたクルマを移すときに自動車税(正確にはVehicles Property Taxなので資産税ですが、ここでは自動車税としました)がかかります。車種と年式によって決まります。新しくて高価なクルマほど、収めなければならない税金も高くなります。

郡(County)の役所で税金を納めたあと、近くのDMV(運輸局、Department of Motor Vehicles)に納税証明書を持って、移転手続きをしに行きます。これによって、ナンバープレートおよび自動車所有権証明証、自動車登録証がPAからSCに変わります。PAのプレートは返却義務はありません(多分)。私がこちらで購入した中古車にはノースカロライナ州(NC)のプレートがついていたのですが、NCはプレートの返却義務がありましたので、これも州によって違うみたいです。

自動車に関して、もう一つPAとSCで大きく異なるのが、車検制度。PAでは年に1回、2種類の車検にパスしなければなりません。日本のように合格したことを証明するステッカーをクルマに貼る必要があります。しかし、SCでは車検そのものが存在しません。その代わりといってはなんですが、日本と同じように毎年自動車税(先ほどのVehicle Property Tax)を納める必要があり、プレートに納税証明のシールを貼る必要があります。この自動車税はPAでは納める必要はありませんでしたので、維持費という面から見るとどっちがいいのかはわかりませんが、壊れかけのボロボロのクルマのオーナーにとってはSCの方がいいでしょうけど、新しいニューモデルのクルマに乗っている人にはPAの方が有利です。いずれの州でも1年ごとに自動車登録の更新(登録料は20~30ドル)が必要なのは共通です。

自動車といえば、日本では自賠責保険が必要ですが、アメリカでも自賠責保険に相当する保険への加入が必要です。この保険の保証内容も州によって異なるのは言うまでもありません。


3)確定申告

一番面倒臭かったのが、州税の確定申告。日本と違ってこちらは納税者全員が確定申告を行います。確定申告は連邦税と地方税(州税や市税)の2種類をしなければなりません。日本も所得税と地方税がありますが、日本の場合、所得税の確定申告をすると、地方税については自動的に手続きされるのが普通です。

アメリカも連邦税に関しては全国共通ですので、昨年と同じ手続きをすればよかったのですが、州税に関しては全て一から学び直さなければなりません。以前いた大学では確定申告の手続きについて説明会や相談会があったのですが、今度の大学ではそういったものはありません。大学には専属会計士がいるので、大筋の質問にはある程度答えてくれますが、個別の内容については自分で調べるか、個人で会計士にお願いするしかありません。収入がある程度ある人や収入の複雑な人は会計士に依頼しても元が取れるのでしょうが、研究留学しているような人たちは収入も少ないですし、収入源も決まっているので、自分でする人がほとんどだと思います。そんなわけで、自分も時間をかけて書類を用意しました。今年はPAとSCの両方に書類を出さなければならないので、その労力も2倍です。

PAの場合は、米国居住者でなくても州税を納める必要がありましたが、SCの場合は、SCの居住者でなければ(米国非居住者も含まれます)州税を納める必要はありません(正確にはSCから収入があってSCに居住していない人やその逆などの例外はあります)。SCの非居住者の場合、フォームSC1040とSchedule NRを提出することになります。

今回は連邦税と州税の確定申告に合わせて、大学転籍時に手続きのタイムラグの関係で給料から天引きされてしまった社会保険税や政府医療保険料の還付も申告しなければならず、さらにひと手間増えました。

来年は(いるかどうかはわかりませんが、確定申告自体はする必要があります)居住者として申告するので、また提出する書類が変わりますし、米国非居住者以上に書類の作成も複雑です。アメリカに永住するというのならともかく、数年の生活のためにこれらの手続きに精通するのもなんだかなあ、というのが今の心境です(精通しているといえるほどでもありませんが)。

確定申告(Tax Return)の今年の提出期限は4月16日です。今の時期テレビのCMでも確定申告に関係したものが多く見られます。しかし、これを毎年きちんと理解して申告しているアメリカ人って偉いなぁと思います。

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