2008年2月20日

カエルの子はカエル?

高学歴を身につけさせることによって、子供の将来をよくしたいと思う親の願いは世界共通のことかと思いますが、ここ30年その思いはあまり実っていないというニュース。ニューヨークタイムズより(タイトルをクリックすると元記事が開きます)。

ワシントンにあるブルッキング機関の調査によると、人種や親の収入よって学歴の差が広がっていることが示されました。

こうした事実は以前から指摘されていたことですが、調査報告ではここにきて改めてこうした社会現象に警鐘を鳴らしています。

日本に住んでいた頃は「アメリカは学歴なんか関係ない。実力主義だ。」と聞いていましたし、そういうものだと信じていましたけど、いざアメリカに住んでみると、ある意味日本以上に学歴社会であることを思い知ります。

ただこれは学歴主義というわけではなく、学歴(学位)が実力を表す1つのバロメーターとして役立っているためです。アメリカの公的な手紙ではその人の学位を記すのが慣例ですし、持っている学位によって就ける仕事も違ってきます。もちろん中には学歴なんて全く関係ない仕事もありますし、それで成功する人もいますが、一般には高学歴を身につけることによって、よりよい(高賃金の)仕事に就くのが普通です。

そのためアメリカでは社会に出てから大学に入り直したり、大学院や専門コースでさらに高度の技術を身につけることがキャリアアップするための一つの手段になっています。近年はMBA(経営管理学修士号)をとることが高収入への近道であるということで人気でした。

そんなわけで貧困から脱出するためには、大学で学位をとることが重要なステップになるわけです。



日本でも「学歴は遺伝する」「金持ちの家庭じゃないと東大には入れない」などといわれて久しいですけど、今回の調査結果からそれはアメリカでも同じだということがわかります。

例えば、親の収入別に子供を5つのグループに分類した場合、最上層のグループに属する家庭(=最富裕層)の子の53%が学位を取得しているのに対して、最下層のグループに属している家庭(=最貧困層)だと11%の子供しか学位を取得していないそうです。

これを人種別に見ると、ヒスパニックおよび黒人は白人やアジア人に比べて学位を取得する割合が低く、中間グループに属する家庭(=ミドルクラス)の子供たちを見ても、白人では16%しか最貧困層に転落していないのに比べて、黒人では半数近くの子供たちが最貧困層に転落することがわかりました。つまり同じ収入層であっても、黒人の子供は収入レベルが落ちる確率が高いということです。

将来貧困になる確率は貧困層が一番高いというのは真実でしょう。そして黒人がその多くを占めているのも事実だと思います。

それでももし大学を卒業すれば、上のクラス(より収入の多いグループ)に入れる確率が高くなるということも確かなようです。例えば、最貧困層でも学位をとればそのうちの19%は一番収入の多いグループに、そして62%はミドルクラス以上(上位3グループ)になることができるのです。

人種問題は確かに考えなければいけない問題だと思いますが、それでも学歴(キャリア)によって逆転のチャンスがあるということは、もっと強調されてもいいのではないでしょうか。

頑張る子供には特待生などの制度も充実した国ですから、要は黒人でも人より頑張れば可能性はあるわけです。逆に白人でも怠けていれば容易に下層に転落してしまいます。もちろんこれは不公平には違いがないのですが、努力次第で身分(収入)が変われるだけ昔よりマシだと思って頑張るしかないのでしょう。なんていったらリベラリストに怒られますかね?(苦笑)

最近では逆に上層になると逆差別(黒人や女性などマイノリティが優遇される)ということも言われるようになってますから、人種問題はこの先もずっと考えなければならない難しい問題なんでしょうね。

でも単一民族の日本でも同じ調査をして同様の結果が得られれば、親の収入が一番のファクターってことになりますから、これはこれでまた別の問題として考えなければならないわけですな。

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